2018年7月8日日曜日

Alor Maumere 攻略作戦 伍の弐

 
欧米、特に欧州のダイバーのリピーターが多いAlor 海域。でも日本からすれば殆ど知られていない僻地。
海に潜ると欧米からのリピーターがやって来る理由も良く解った。
ジュゴンとの遭遇はAlor でのダイビングのコンビネーションで楽しまないと、完璧とは言えんもんね。



濃厚だった。実に濃厚な3時間なのであったよ。
参加者が多かったら、恐らくは1時間交代とかになって触れ合う時間も少なかったであろう。
「ジュゴンに遭うだけって可能ですか?」
「場所だけでも教えて下さいです。」
そーゆー問い合わせには応えんからね~。
それでも時間と金をかけて出かけるのか?(実際に展示会で問われたよぅ。)
そーゆー疑問を持つ方は持てば良いよ。
鳥羽水族館で眺めてセルフィーでもしておれば宜しいと思うの。お手軽簡単で確実に逢えるもの。
若しくは普天間の海で永遠に探せば良いよ。
Who Dares Wins

 最初は我々とボートの近辺の海底を行ったり来たりしていただけであった。
偶に海底に草の様に生える海藻をモシャモシャと食べていた。
試しに海底まで潜ってみたら、未だに無事に動いている私のダイコンは3.2mを示した。

 動画と写真で見た通り、このオスのジュゴンは全く我々を恐れていないのあるよ。
ワンコを飼ってたり、ワンコと触れ合うのが好きな人だと理解できるやも知れぬが、海の中の大きなセントバーナード犬なのである。
とにかくジャレ合いたいのだ。全員にタッチして居た。サカッているジュゴンなのか。多分違うな。
ワンコのオスもジャレ合っている内にウッカりナニがおっ勃つ事があるやんけ。全くそんな感じなのだ。
ただね、いかんせんデカイ。そんで我々には天然物の野生のジュゴンにどれだけ触れ合って良いのか遠慮もある。
私が最初にネッキングっつ~か抱っこされた。前足は恐ろしく強い。今迄、こんな太く強力な二の腕(?)と対峙したことは無いな。
抱擁された時にはワンコと全く同じだ。「フヘッ、ハッ、ハァッ」って息遣いが聞こえる。
そんで離れたら「キュゥゥゥン」って甘えた様な声をだすんよ。
写真や動画で我々が手を触れているように見える奴な。ある程度の距離をジュゴンと保とうと努力した証拠なんよ。
しかし、ジュゴンの皮膚ってゾウさんとかカバさんみたいや。そんで、まばらに生えた体毛は数センチなれどギターの端っこの太い弦並に剛性がある。
口の周りのヒゲも剛性があるがやや柔らかかった。

 そりゃまぁ、多少オスメス的視点もジュゴンには有るやも知れぬ。
ならば、オスのジュゴンが避けたいのは当然オスのジュゴンだ。
ジュゴン界でオスの中のオスとも目されていたのは誰か。
・・・どうやら王子やった。

 話はブッ飛ぶが、シンクロナイズド・スイミングってスポーツを知っている?若しくはフィギュア・スケートって競技。
アーユー競技の芸術点って訳の判らん、審判の裁量でど~にでもなりそうな点数が重要になるやん。
特に、シンクロナイズド・スイミングって真剣勝負競技なのに微笑みながら行ってるやん。
歯を食いしばったり、泣きそうな表情って、やっぱり芸術点を悪くするんかね。
つくづくと想うのね。サッカーとかマラソンに芸術展が無くて良かったって。
カバディじゃないけど、ゴールキーパーが90分間の内で一瞬だけ微笑みの表情が無かったから減点…ってなったらキッツいやん。
柔道で、微笑みが足りんかったから判定負けっつーのも嫌やん。

 王子以外の皆には、ジュゴンは嬉々としてやって来て抱擁を求めてきたのさ。
じっとしてジュゴンに抱っこされていれば、しばらくしてからジュゴンは前足を緩め、次の相手に同じ様な仕草をしてまわった。
多分王子にも同じ気分でやって来たのかも知れない。
王子はワンコとのジャれ合いに不慣れなのかビックリしたのか、逃げてしまった。
逃げるものは追いたくなるよね。こりゃ、人間でもワンコでもジュゴンでも同じだよ。
ヒョットしたらジュゴン側でマジで恋のライバルと目されたのか、鼻先で王子の尻を突っつき始めた。
王子の尻が大好きなジュゴンなのかも知れぬ。
おっと、ソッチ系であっても邪険にしてはいけない。LGBT運動の皮を被った反日極左連中が抗議に来るしな。
その光景が全員のツボにはまった。(実は決定的な映像も撮っていた。だが、コレは痛風潜水隊隊員間のみに公開な。)
ボート上のスタッフも爆笑なのであった。
当人の王子にとっては修羅場であったやも知れん。暴れていたし。貞操の危機やったと思ふの。
その内に、王子の左フィンが落ちるのが見えた。

ふ~みゅ。笑いをこらえ、撮影していたい気持ちを抑え、潜って取ってくるか…。
仕方がないので潜行して海底に横たわるTusaの最新作HyFlex Switch を拾い上げ、そのまま彼の左足に履かせた。
履かせながらも彼の足は暴れていた。履かせつつ視界の隅では彼の右のフィンと今年買ったばかりのSony製カメラ最新モデルが落ちていくのが見えちゃったよ。
ふむ。解るよ、判る。今までフィンで海水を蹴っていたのに、いきなりブーツだけで海水を蹴ると軽過ぎて浮き辛いよね。
だが、履かせてあげた左足でユックリと海水を蹴れば頭は海上になるよ。
通常ならね…。ジュゴンが尻を狙っている状態ではまぁ、別問題やね。
私は息継ぎと状況確認で海面に顔を出した。出来れば、右足のフィンとカメラが落ちていった事は見ていなかったことにしたひ。
幸い彼のそばにはBali島ヌサドゥアでダイビングショップ”Moglindo”を営むオーナー兼インストラクターのS嬢が居た。
そんで彼女が王子を後ろからアシストしていた。
この状況は、東ジャワのど田舎に泊まってビールが無くて探し求めていたら、アポテックに消毒用アルコールを見つけた!
って、位に心強いのだよ。
彼女は言った。「右のフィンも宜しく!」むむっ、彼女は王子の右のフィンが無い事を知ってやんのけ。
だが、チョット待って欲しい。左のフィンを取りに行った際にも大笑いを堪えていたのだ。
せめて笑わせて欲しい。ってか、笑ってたら呼吸もへったくれもねぇ。次の潜行もできねぇ。
私は息をするのを諦めて、再び潜った。
右フィンを拾う。く、苦しい。お、可笑しい。苦しい。笑いたい。ってか、息せずに海中で爆笑がこんなにキツイとは。
でも、爆笑中に3度の潜行は勘弁である。ついでにカメラも拾いに行く。
浮上して、やっと空気を肺に突っ込む。さぁ~て~、王子よ。高級カメラと最新フィン、どっちを優先して渡して欲しい???
私ならカメラだよな。価格が違うもの。ってんでカメラを王子に渡してみる。
レスキューS嬢が「フィンよフィン!」って、疲れた感じで声は真面目に叫ぶ。でも顔は笑っていた。
再びマトモな息継ぎもせずに右足にフィンを突っ込んでやる。
王子はトボトボとボートに向かっていった。
水深3mでの作業だけなら何ってことは無い。んだけどぉ~爆笑しながらとなると話は違う!
私は、つくづく想った。シンクロナイズド・スイミングに芸術点は不要だと。素人がやったら死人が出る。
ボートに上がった王子の御威光が。
結果的には笑わせてくれた王子に皆が感謝していた。
皆さんも大笑いをしながらのレスキューは厳に謹んだほうが良いよ。

































3時間ほどのジュゴンとの触れ合い体験とその後のビデヲを眺めて気付いた。
ジュゴンにカマッて欲しければ、フィンを真下に下げて直立体制でジッとして居れば良い。
頭が海上にあって海中が見えんやん。って、うん多分見えん。
不安なら、呼吸を止めて直立状態で海中に没すれば良ひ。
そーすっと、ジュゴンの方から抱擁してくるよ。
好きな方をお選び。

さて、続け。

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