2016年5月6日金曜日

皇紀二六七六年 黄金週間潜行作戦 May Day

 北北東から痛風潜水隊の伝説娘がバリ島に舞い降りた。
とっくの昔に期限が切れたSIMを自慢のi-phone にブッ差して。
無論誰にも繋がらず、泣く泣く空港内のwifi に繋いでのe-mailが私に届いた。
「今、飛行機から降りて入管を通過。晩飯に行こう。●時にはSanur に到着するぜ。」
否々、国際空港到着時から入管-通関を経てタクシーで乗り付けたとしても、100秒では足りんでしょ。
偶には逆算も行ってみて下されぃ。
ロジスティックスを超越し、コミックスを与えればダイビングも忘れられる、
あのイチヂカン中尉がインドネシアの地に再びやってきたのだった。
ん!?ロジスティックを超越するって、
    ・・・インドネシアにはピッタリな性分やん♪


 車は早朝のサヌールからスムーズに何時ものショップへ到着する。
ショップのオランダ人オヤジに最近のジェティの様子を尋ねる。
・アレから、桟橋で釣りをする人達と地元漁師で小さな競り合いがあったらしい。
・今の海は緑色。透明度は激悪。
・ウネリが酷いよん。
であった。
それでもジェティに向かうのはマヂメな日本人の性だわ。
 なんと、今回彼女は新しく購入したカメラとハウジングを持ち込んでいた。
よりによって彼女が購入したのは私と同じメーカー、機種であった。
ってか、中尉の所有するカメラとハウジングでは3機種目だ。
計画性は無いけれども、間違った節約の実行&ムダ銭なら有るぜ~的キャラなのだよ。
前回は、i-pad、i-phone、エネループ電池、ことごとく充電機材を忘れても泰然としていたイチヂカン中尉。
故に、防備録を用意して計画的に、忘れ物の無き様にと、リコメンドだけはしておいた。
ダイビングの準備後にも、
基本機材?「ヨシ!」
カメラ・ライトのバッテリー充電?「ヨシ!」
フロート?「ヨシ!」
飲み水?「ヨシ!」
曇り止め?「ヨシ!」
何でも、前日に中尉自らカメラやライトのOリングの整備まで行っていたそーである。
ホゥホウ、中尉も成長したやんけ。(実際にはハウジングに付属していた乾燥剤を全袋ブチ込もうとしていたけどにゃ。)

 ボートはジェティ(桟橋)先端やや西側に。
08:30の桟橋上には多くの釣り人が居るが、ダイバーは我々だけだ。
全てのセッティングを自らこなし、実にスムーズに潜行を始める。
10日前に潜った時よりも緑の濃い世界だ。
透明度は目を凝らせば10m。油断すれば5m以下だ。
水温は28-29℃。
西の根を軽く散策し、中央の根から桟橋下に入ろうとする。
中尉の支持棒が鳴る。
10cm程の黄色いカエルアンコウ。
おお、実にイチヂカン中尉は大成長しておるではないか。
写真撮影も素早く終えたのか、早々に私に撮影位置を譲ってくれる。
ほぉ、初めてのハウジング撮影だと言っていたけれども、実は予習しておいたんだね。
 桟橋内は多少のサージング。フィンを蹴飛ばせば何とかなる程度だったので、構わず陸地側に向けてジグザグに幅10mの桟橋内部を進む。
先程よりも白味の強い小型のカエルアンコウに遭遇。
彼女に知らせ、撮影の為に場所を譲る。
しかし、中尉殿はマスクの前で手のひらを立てて左右に振り、ジッと目視だけで移動を始める。
ほぉぉぉ~、もうね、彼女レベルになってしまうとカエルアンコウ程度では飽きてしまいましたか!
イヤ、イヤ、イヤ、もうね、それくらいの被写体じゃ動じないわよ。」そんな雰囲気を漂わすのだ。
それでは、ってんでマクロ情景を案内する。
エントリー前にマクロ撮影モードを試したがっていたでしょ?
さぁ、思う存分撮影してみなされ!
Olympus製STYLUS TG-4 Toughならば、肉眼でも見えない微細さもモニタ上で鮮明な焦点を合わせてくれるぞぃ。
私は自身の位置を移動して、彼女に撮影し易い場所を提供する。
中尉は直ぐに其の場を離れる。
フム、ヒョッとしてカメラかハウジングの不具合発生なのか???
カメラを指して掌をヒラヒラ動かしてみる。
すると、中尉殿は首を縦に振る。そして、私と同じ様に自分のカメラを指して掌を振る。
が、直ぐに掌を立ててマスクの前で左右に「ちゃぅ、ちゃぅ、ちゃいまんねん。」と振る。
一体ドーなっておるのだ?!
中尉殿は支持棒を取り出して砂地に何かを描き出す。
メモリー 
仰ぎ見てモニタを
思い出をたどりぃ
泳いでゆけばぁ
出逢えるわ 
カエルアンコーにぃ
何かが抜けてるぅ~
メモリ・・・不足?
砂に書いたメモリって何か詩的やん・・・。
ア・ホ・か!そんなん、再生モードで不要な写真を消してしまえぃ!
海中でそんなん未だ出来んのかいな。前以て準備しとかんかい。
矢張り、イチヂカン中尉なのであった。
柱に沿って浮上を始めたら、直ぐに体長5cmの愛らしいカエルアンコウが・・・。
その口が・・・
誰かを見つめて
アホ~あほ~と動いておま。
チミのマナコでジックリ見つめて、チミの前頭葉辺りにシッカリ焼き付けなされ。

 ボートに乗った後、Hardy's Sanur 店舗内のパン屋で買い求めておいた菓子パンを齧りながら中尉殿から改めて詳細を聞く。
カメラに放り込んだのは16GBのSDカード。但し、未だにSDカードの整理をした事は無し。
カードの中には4種類のカメラ撮影の成果が。
写真の再生&消去方法を教える。
出るわ出るわ、数年前のジャカルタ支店時代の写真とかな。
その頃から16GB一枚勝負で整理せずやったんかい。
本当はカエルアンコウとか無茶苦茶撮影したかったらしい。
なのにカメラモニタには「メモリーが足りません」の無情な表示が。
ってか、撮影モードも一枚あたりで16MBのMaxのままやん。3MBもあれば十分やん。
・・・あれだけイロイロ準備して来たのになぁ。
中尉殿は「ブログのネタにするんでしょう?」ケタケタと明るく話す。
思ひ出の消去中
全くPSYCHO-PASSなら彼女は頑強メンタル美人だ。
* PSYCHO-PASS【http://psycho-pass.com/】
前向きに、挫折せず・悲観せず・学習せずだ。
場所をブルーラグーンに移す。
ゴールデンウィークなので日本人ダイバーが圧倒的だ。
ブルーラグーン南方の沖合いにボートは停泊。
水深15~18mで弧を描く様に北上しドロップオフ迄行って、戻りは浅場をヒタスラ南下する計画をブリーフする。
中尉殿も購入したコンパスで方位を確認・・・
・・・奴は固まっている。カチコチに行動&思考停止しておるわ。

 ジェティよりは透明度が増して10mは確保出来る。水温は27℃。
 水深18mの根には全裸の裸オコゼが大中小3匹。
水面休憩中に写真を100枚ほど消去し、メモリを復活させた中尉殿は先程の恨みも込めて写真を撮り捲っている。
撮りまくるのは良いけど、先行する私を追い抜き、ドロップオフの深場に沈みながら通過して行ってしまう。
奴はカメラに夢中になった迷子を演出していた昔のH隊員を超えようとしている。
ショップからの帰り道、サテ・イカンで昼食。
夕食は「天咲」。
そーいえば、イチヂカン中尉がボヤいていた。
「ジェティって魚影が随分と減ったネ」
アノ虐殺を目撃してから10日程度しか経っていないもんな。

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