2013年1月1日火曜日

皇紀弐千六百七拾弐年 師走月クリストマス潜行作戦決行 戦果報告その2




1. 移動編

 久しぶりのダイビングでした。ダイコン(ダイブコンピューター)の記録によると、最後にダイビングをしたのが2011年4月、つまり1年8か月ぶりのダイビングになったわけです。行った場所は、われわれ痛風潜酔隊がよく行くバリ島のTulambenです。
 日程は、クリスマス休暇を利用しての12月23日~25日の2泊3日の旅程でした。


Tulambenの場所です。


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 ほかのメンバーは前日に飛行機でバリ島まで移動しましたが、私は車で移動しました。別に飛行機が嫌い・怖いというわけではないのですが、何となく短時間の飛行機は落ち着きません。長時間移動なら昼寝したり、DVDを見たり時間がつぶせますが、1時間程度のフライトだとどうしてもせわしくなってしまい、落ち着かないです。
 また、ダイビングをやっている方はご存じかと思いますが、ダイビング後のすぐの飛行機の搭乗は御法度です。安全を考えれば、24時間程、時間を空けて飛行機に乗った方がいいです。そうなると、休み明けの会社の出勤が朝早い、休日の間でスラバヤへ帰りたいとなると、帰る日の前夜が最後のダイビングとなってしまいます。でも、帰る時間ぎりぎりまでダイビングをやりたい、1本でも多くダイビングをやりたいとなると、車で移動した方がいいので、わたしはいつも車で移動しています。
 他人から見ると、この車移動が結構大変そうに見えて、皆さんびっくりします。たしかに、延々と10~11時間車に乗ることになり、腰痛持ちにはちょっとつらいかもしれません。幸い、私は腰痛ではないし、車は好きな方で、あまり苦になっていません。
 でも、正直今回は後述のこともあり、始めて苦になりました。というのは、ダイビングをするため車でバリまで移動することを始めたのが2007年ごろです。マイカーによる交通量がその頃と比べ増加し、スムーズな移動ができなかったが主な理由ですが、それでも以前は日本でいうホリデードライバーが少なく、交通の支障になるようなケースはさほど多くありませんでした。しかし、今回はホリデードライバーが多くなり、交通の支障になるケースが本当に多くなりました。それに加え、バリ島でのバイク運転のマナーがスラバヤ以上に悪く、ヘルメットをしていない、小学生・中学生が一時停止をせずに脇の小道から本道に合流してくるケースが本当に多くなりました。
 また、今回初めて大渋滞の経験をしました。大渋滞した場所は、ジャワ島からバリ島へ渡るフェリー乗り場です。通常ここでは、1時間強で通過できますが、今回は6時間掛かりました。渋滞の原因は2つありますと思います。一つは、クリスマスから年末・年始に向けての物資がバリ島へ移送されるため、トラックが非常に多かった点。もう一つは、このインドネシアならではの理由です。
 前者の理由はすごく理解できます。ご存じのようにバリ島では物資の自給はほとんどできません。ほとんどが、ほかの地域からの補給でまかなわれています。特に東ジャワ州からの補給がほとんどです。クリスマスから年末年始の休暇を控え、物資の補給のためのトラック輸送が多くなり、このため渋滞をしたということは、すごく理解できます。
 でも、後者の理由は理解できません(“インドネシアだから”という言葉が入れば理解できますけど)。というのは、フェリーが就航している数が2007年ごろより増えています。マイカーの増加に伴ってフェリーの数を増やしていると思われます。この点は評価したいところです。しかし、しかしですよ、フェリーという種類の船は車や人を海の上を運ぶための乗り物であるわけで、その車や人をフェリーに乗せるための桟橋・港が絶対に欲しいわけです。これが無ければ全くフェリーの役目を果たさないことは、誰でもわかることです。ところが、フェリーが増えているにもかかわらず、桟橋の数は全く増えていません。これでは、フェリーが海の上で待っている時間が増え、フェリーが増えても全体の時間は短縮されず、余計に時間が掛かると思いませんか。
 しかも、今回発見したのですが、従来型のフェリーと比べ、明らかに大きいフェリーが就航しているのを発見しました。確かに、一度に大量の車・人を運ぶには効率的かもしれませんが、しかし、それに対応した桟橋が整備されなければ全く意味をなさないことです。そして、注意深くこの大型フェリーが停泊しているのを見ると、3つしか無い桟橋を2つも占有しています。通常この手の大型フェリーにはたいがい搭乗口2つ以上ある場合がほとんどです。その2つの搭乗口使って2つの桟橋から効率的に車の乗り入れをするのが普通だと思います。例えば、一つは搬入専用、もう一つは搬出専用として使えば非常に効率がよくなると思いますが、ここではそのような運用はしておりません。あくまでも一つ搭乗口、一つの桟橋しか使っていません。で、残った桟橋というとは、ただ船が大きいから、隣の桟橋にほかの船が接岸できないという状況で、ただでさえ少ない桟橋がその大型フェリーのために機能していない状況になっていました。
 おかげで接岸・搭乗に非効率が生じて、その結果全体の時間に無駄が生じ、渋滞に至っているわけです。日頃仕事で生産現場を監督している人にとってみれば、よくあるケースで、その非効率なところを日々改善指導されていると思います。でも折角の休暇です。仕事のことは忘れたい、リフレッシュしたいと思いますが、そうさせてくれないのがインドネシアです。
 ついつい、日常のことも仕事に結びつけてしまう日本人の悪い習慣かもしれませんが、どうなんでしょうか。


2. ダイビング編


 移動の話は、これまでとして、本題のダイビングの話したいと思います。前述したように、しばらくぶりのダイビングです。私も知識としては十分覚えているし、それなりの経験を積んでいるわけですが、やはりしばらくぶりのダイビングには不安がありました。
 ダイビングは空気の無い非日常の水中で、しかも水圧という高気圧環境で活動するスポーツです。ちょっとしたことが、事故につながることが少なくはありません。だからこそ事故の無いように、事前の準備は万全に整えます。例えば、私の場合でいうと、地上ではこっけいな、ダイビング機材を装着して、装置の動作を確認することもしました。なおかつ、私は水中写真も撮りますので、カメラに水中ハウジングを装着して試し撮りをして、本番に備えました。そんな準備をしても、やはり実際のダイビングとは違います。一番大きな違いが、水中と地上では重力の作用が全く違います。水中では浮力が重力を相殺して、無重力に近い状態になります。しかし地上では当然のごとく重力が働きます。そのため、地上では当たり前の動作が、水中ではこの当たり前の動作ができないです。これがダイビングを難しくしている理由かと思います。
 それでも、この無重力に近い状態は、何ともいえない快感を得ます。そして、前述のフェリーの件の様な日常を忘れさせてくれる、これこそがダイビングの魅力であり、私がダイビングを続ける理由の一つです。
 それで、いざ海に入ると、やはり無重力状態がもたらす開放感は何ともいえません。そして、ダイビングを開始したのがクリスマスイブの24日でしたが、なんと海の中にクリスマスツリーがあるではないでしょうか。併設しているダイビングショップのスタッフが設置したようで。思わず感動しました。このブランタスが皆さんの手元に届くのは1月になり、季節が外れるかもしれませんが、"海の中からメリー・クリスマス”。

 海は少し浮遊物が多く、けして透明度がよかったとはいません。このブランタスの印刷ではわかりづらいかと思いますが、浮遊物がストロボに反射しているのがわかります。ちょっとこの点は残念だったですが、自然を相手にしている以上、致し方ないことです。




















今回水中撮影した中で、私のお気に入りを数点紹介したいと思います。


最初のこれは、私の一番のお気に入りです。ヤドカリの種類(だと思う)と小さな魚が対峙している場面です。普段は仕事でイライラしている私ですけど、このような光景を見るとホッとします。当のヤドカリや魚してみれば、自分のテリトリーを守るために、必死なのかもしれません。この写真は非常に小さな場面を撮っています、こんな小さな場面でも自然の営みを感じることができました。


こいつは、ちょっとピント合わせをミスしてしまいました。本当は目のところにピントをあわせたかったのですが、ハサミのところにピントが合ってしまいました。まあ、それでもいい雰囲気で撮れていると思います。


こいつは、いいように擬態化していました。


おなじみのウミウシです。


で、最後はこれ、お互い見つめ合って、お見合いでもしているのでしょうか。うまく結ばれて、子供が生まれて、また私の目を楽しませてくれることを期待しています。

3. ダイビングと自然について

 先程「自然」というキーワードがでましたので、「自然」というキーワードについて考えたいと思います。
 以前と比べ、生息している魚の種類が大きく変わっていました。以前は、次の写真にあるようにギンガメアジと呼ばれる魚の大群がいましたが、今は全くいませんでした。


今回一緒にダイビングをしたYさんにこのことを訪ねると、ほかの場所に移動したとのこと。理由はこのTulamben周辺のホテルにプールが多く設置されるようになり、藻の発生を防ぐためプールには、塩素を入れるようになった。その塩素入りのプールの水が、海へ排水され、海水のpH値とかが変化して、魚の生息環境が変わったのではないかと。確かに、われわれが泊まったホテルにもプールが設置され、そのプールには塩素が入れてありました。その事由がまんざら間違いではないように思えました。

 われわれダイバーは自然環境にとってみれば、ある意味脅威となっていると自覚しなければいけないだろう。もちろん、われわれダイバーは海中生物に触ってはいけないし、危害を与えてはいけないと講習で習ったが、そのことを改めて徹底しなければいけないと思う。

 また、他方の意見では、ダイビング自体が自然環境破壊の行為にあたるため、全面的に禁止するという意見もあるだろう。

 しかし、私はそうは思わない。前述のプールの塩素がいい例だろう、ダイビングを行っているからこそ、魚の生息環境の変化に気づき、塩素による弊害があるかもしれないと考えることができた。ダイビングを行っていない人は果たして気づき、考えることができただろうか。

 ダイビングはこのように自然環境に近づくことができるスポーツであり、自然を身近に感じることで、自然を慈しむ心を育てることができるのではないだろうか。

 それと、私事ですが、わたしのダイビングした回数が100回を超えました。私のダイビングを始めたのが大学生の時、その時から記録を加味すれば、とっくに超えていますが、インドネシアでのダイビング回数で計算すると100回です。この100回というのはダイバーにとって、記念すべき回数です。
 また、今回一緒にダイビングをしたAさんも、100回を超えました。われわれメンバーの中には200回、500回以上という強者がおり、私なんかまだまだ幼稚園児ぐらいかもしれませんが、これからもダイビングを続け、自然と共生できるダイバーを目指したいと思います。

記:王子


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