2017年6月5日月曜日

犯らかし三人衆厄除け事案?潜水作戦

♪ピン・ポォォォォン~♪
「こんにちは、奥さん。
  国連の方から参りました。ディビット&ショーン・Kです。
    只今、この地区の消火器無料点検を行っておりまして・・・」
 ま、ここん処、ご当地の御大尽や役人連中が仕掛ける制度変更諸々に辟易していたんですけどね。
切った張ったの鉄火現場を知らぬ・・・もとい、汗と涙でお金を稼ぐ苦労を知らぬ・・・
学業成績とコネで成り上がって、エアコンの利いた部屋のふんわりソファーで作り出したのが見え見えな政令が多すぎやしませんかね?
そんで、インドネシアと日本の役所での対応の違い。
やっとその原因が見えてきたんですわ。今頃見えてきたなんて、全く私の頭は鈍いっすな。
日本の役人及び会社員は大概がポジティブ・リストに拘束されて勤務しているやん。
コレコレはやって良いけど、それ以外は駄目よ知らんよ、もしくは上司の判断を仰げって奴な。自衛隊が良い例ですわ。
所が当地は軍人さんはもとよりチョットした空港の警備員に至るまでがミニマナイズされたポジティブ・リストに則っての勤務なんだわな。
当人の判断で白も黒にしてしまうやん。
役人には瑕疵が存在しないんだから大丈夫ニダよ。ナニナニは行ってはいけないけれども、それ以外は全部おやんなさいよ。やっちゃって良いからぁニダ。
自前の利益になることも多少は逝っちゃってくださいよぅ~ってな。
故に、担当者によっての判断が多種多様なんだね♪そこだけパンチャシラってか。
流石は20年前まで軍事政権やったお国柄どすぇ。
よーく見れば役人のユニフォームは軍人制服から抜け出せていないやんけ♪
そーゆーふーに考えたら全てが納得行くよね。

 王子は運転手にジュアンダ空港まで身一つを送らせた。
機材やどデカいカメラは車に積んである。
王子「じゃっ、ングラライ空港で出迎えてね。」
そう運転手に告げてGルーダ機に搭乗した・・・。
 今日の作戦参加者はK教導隊長・H王子、私の三名である。
王子御用達宿舎で待ち合わせた私とK教導隊長はスラバヤから走ってきた王子専用車に乗り込む。
今日の作戦地は、一年の潜水ブランクのある王子を考慮してブルーラグーン辺りを気軽に考えていた。
専用車はいつものショップに滑り込む。
いつものショップのオランダ人ジョッシュが日焼けした顔で我々に近況自慢報告を伝えた。
「Hey 三日前、二日前と連続してミンパンにおマンボウが出てるぞ。昨日は7mのジンベイザメが出たぜ!」
このノッポのオランダ人ジョッシュは自慢好きだ。
逆に私達だけが珍しい生物に出会って写真を見せると地団駄を踏んで「ジェラァァァッス!」ってやる陽気なオッチャンだ。
同じく負けず嫌いのK教導隊長がムズムズした表情に変化した。
「んネェ、逝こうよミンパン~」別の方向で誘われたい魅惑的なVoice。
私ゃ潜れれば何処でも構わん。
私と王子だけならば躊躇したかも知れなけれど、今日は教導隊長も一緒だかんね。
ソ~ユ~訳で作戦地をミンパンに変更とした。本数なら王子もベテラン・ダイバーやし・・・。
三名がチャッチャッと装備を整える。
王子はマクロ用撮影機材を、通常用機材に持ち替えた。
王子の持ち込んだ撮影機材だけで大荷物なのだ。

 ボートは一路ミンパンを目指す。
一本目。海面近くは28℃。但し15mより深くは26℃。透明度は13~15m。最大水深25.5m。
今回は海上で三名が互いに確認してから潜る。
海中は前回に比べてもやや穏やか。
潜水が久し振りの王子はエア持ちが悪い事は予想していた。
K教導隊長が外洋側のウォールに曲がる際にエアの確認を行っている。最後尾の私も先を行く二人に追いついた。
私は二人より2m程深度を深く取って二人の遣り取りを感じながらおマンボウ捜索の視線を外洋や深場に送っていた。
子亀がウロウロ。
深場に視線ビームをXバンドレーダーの如くに送っていたら、私の側を何かが縦切った。
ふむ。王子の高級撮影機材じゃん。
外洋に出る前の傾斜が緩い面が幸いして超高級機材は無事に回収された。
外洋の見事に切り立ったウォールだと回収は無理やもんね。
私の身につけている機材装備を数セット購入できる価格の撮影機材が消えてしまうところであったよ。
ま、王子なら涼しい顔で新製品を揃えてしまうかも知れぬが・・・。
 外洋に出て30秒後、アゲインストの流れが襲ってくる。
即判断即実行。全員が回れ右で今来たルートを戻る。
K教導隊長にしても我々にしてもミンパンの景色やルートの周回には全く興味は無い。
おマンボウが出てくりゃソレでおマンゾクなのよ。
30分を過ぎた頃に王子からエアヤバしのサイン。
K教導隊長に視線を送れば、彼女のマスク内の眼球水晶体部には「おマンボー」って電光が点滅中だ。
彼女を残して王子と二人で浮上準備に取り掛かる。
インフレータ・ホースからエアを抜きユックリと徐々に深度を浅く取る。
ソーセージ・フロートを打ち上げる。ソーセージから伸びるテープは7m。
深度6mで安全停止やん。
海面に突き出たソーセージ・フロートは流れに乗り、それから伸びるテープに捕まる我々も深い深い深度の外洋に移動して行く。
じっと3分間を待つ・・・待たない。王子は何故か深場に向かってフィンを蹴り落ち行く。
「???出たのか!?」と下方360°に視線を回すこと暫し。王子は再び浮上して私と深度を並べる。
そんで、互いのダイブ・コンピュータのお許しが出た所で浮上だ。
結局40分のダイブだ。
私、個人としては仲間と遊ぶ感覚のほうが、狙った生物を見つける喜びよりも優先される性格らしい。
従って、タンクにエアが半分残っていても、仲間と一緒に浮上しても一向にかまわないのだよ。
以前、王子とはテペコン・ポイントで激ヤバ150秒ダイブも楽しんだしな♪
未だ若く、負けず嫌いな現役プロダイバーK教導隊長はエアの許す限りは浮上しないであろう。
私と王子は一服タイムだ。私が日本のダイソーで買ってきた蓋付き灰皿を取り出した。
んで、何故に安全停止時に一旦10m近くまで降りたのか訊ねてみた。
私「で、出たのか?お・ま・ん・・・」
王子「き、切れよった。」
そう言って王子はBCDポケットから上下両方のベルトが綺麗に切断されたS-proの上位クラスのダイブ・コンピュータを取り出したのだった。
無事に回収できて何よりですな。
私「カメラが落ちたよな。」
王子「き、切れよった。」
綺麗に寸断された、カメラとBCDを繋ぐ鋼線入りのスパイラルストラップを見せてくれた。
K教導隊長の話でもあったけれども、やはりダイビング器材、特にシリコンやゴム部は或る程度濡らして使用していないと劣化が進むらしい。
メーカーも上手に製造したものだわな。劣化してくれないと次が売れないもんね。 
おマンボー&ジンベイザメの情報が既に拡散されているのか、周囲には8杯のダイビング・ボートが浮かんでいる。
我々の浮上から45分以上が経過しようとしていた。我々が浮上した時にエントリーしたグループがソーセージを打ち上げている。
後5分経過したら118に電話しようかしらん~って考えていたらK教導隊長のソーセージが浮上した。
3人でK教導隊長が持ち込んでくれたクッキーを齧りながらの休憩。
K教導隊長がツブヤク。「おマンボーには出逢えなかったけれども、子亀の頭が可愛かった~はぁとぅ」お、おぢさん達の子亀もカワイイよぅ。見てみる?
二本目もK教導隊長のリクエストで同じポイントだ。
彼女の執念・情熱が素敵やん。
もしも彼女が男やったら一昔前の渋谷のナンパ師として一世を風靡したであろう。
 同じ手順で潜行。ジョッシュ情報に忠実に深度18mで停止して様子を見ること10分経過。
あへっ、流れが出てきたよ。
外洋側に押し出されそーやん。
フィンを蹴って耐えてみる。
王子ちゃん、エア消費しているかぃ~?
後続の多人数グループのフィンが見えてくる。
K教導隊長の判断で外洋側に移動する。
岩地← →深場
外洋側は未だ流れの影響が少ない。
多人数グループと交錯する。
初心者っぽいのが手で漕いでいるやん。
今回は止む無く外洋側を回ってみた。
出会う亀さんは合計3匹。
海から突き出た岩地を半周した所で王子のエアがウッヒッヒ。
K教導隊長に合図をして再び私と王子はフロート打ち出しだ。
同じく40分の潜水だ。
今度の海面は波が出ている。
岩地に近付かないようにフィンを蹴って波に揉まれる”子亀おやぢ”が二匹。
王子の様子が変だ。波の中に頭が入ったり出たりだ。しかし彼はマヂメなのでシュノーケルを付けていた。
シュノーケルから「ヌフッ、アヒッ、ウフッ」って声が聴こえる。先っちょ塞いだら怒る?
ってか、BCDにエアが溜まっていないやん。王子も時々インフレータ・ホースを咥えて息を吹き込んでいるけど膨らんではいない。
「Hey You ! そいつはBCDじゃない。ハーネスだと思いこんじゃえよ!」
仕方がないので、エアでで膨らませたソーセージを渡し、私のタンクに捕まってもらう。
ボートがやって来る。
お先にどうぞ、って譲ったんだけど、ボートの手すりハシゴに捕まって暫し息を整える玉子様。
ボート上で彼のBCDを確認したら・・・インフレータ・ホースの取り付け部が閉まっていないやん。ユルユルっすな。
しかし、コシャクにもホース内部のパッキンにはシリコン・グリースがキチンと塗られていやがる。
私なんぞ、すっかり怠っているよぅ~グリース塗り。
王子の話ではスラバヤ自宅での装備点検でグリースを塗っておいたんだって。
そんで、ホースを完全に締めていなかったかも知れんってな。
「アハアハ」呼吸が落ち着いた王子と再び一服タイムっすよ。
今度は時を置かずしてK教導隊長も浮上。ボートは何時ものショップに向かっての帰途につく。
K教導隊長も一服の火をつける。私が、蓋閉じにコツの必要なダイソーの灰皿を渡す。
佇む無能な凶器
一服を終えたK教導隊長はダイソー灰皿を自分の防水バッグに一時的に仕舞う。
ボートが岸壁に近付く。
先程の灰皿を彼女のバッグに入れっぱなしなのもナニなので、彼女から渡してもらう。
バッグを開けたら・・・蓋の閉まりが悪く、中の吸い殻が全部彼女のバッグの中にブチ撒けられていたのだった!阿鼻叫喚図だな。
やっぱしさぁ、吸い殻は海に返してあげようよ・・・駄目?!
涙目のK教導隊長と共に機材洗浄水槽&シャワーのある場所へ移動する。
明日からダイビングの仕事に戻る彼女は灰だらけの防水バッグも中身をぶちまけて真水をジャブジャブ入れて洗う。
我々も其々の装具を洗う。
れでーふぁぁすと?って奴でK教導隊長にシャワーを譲る。
フロントジッパー5mm厚のウェットスーツのK教導隊長が私に背中を向けて
「脱がせて!」
その御言葉は嫌いではない。が、実際にはツマラぬ実務的作業で脱ぐのを手伝う。
シャワーの中でウェットスーツを脱いだ彼女が叫ぶ!
「あっ!帰りに着るはずの短パンを履いたままだった!!!」
振り返れば、タイ国で出資法違反で拘束された日本人女性が履いていた風味の短パンが・・・
水着の上に履いていたジーンズの短パンも・・・ビッショリ濡れたイイオンナ・・・
条件反射的に私が問いかける。「着替えのパンツはあるんでしょ?」
彼女は答えなかった。後に王子と反省したのだが、そーゆー場合のレディーに対し「ぱんつ」発言は失礼ではなかっただろうか?
紳士たる者「すきゃんてぃ」とかの言葉でスマートに尋ねるべきではなかっただろうか・・・紳士の悩みも尽きぬのだった。
K教導隊長曰く、ショックで良く聞こえなかったらしい。そして「ぱんつ」よりは「おぱんてぃ」の方が判り易いとのアドバイスを賜ったのだった。
紳士は常に学習だよ。
「BCDを乾かし、上下を逆にして短パン風に履けば問題無し。」って言いかけたけど、ひざ掛け用に持ってきていたサロンで窮地を脱出したK教導隊長なのであったよ。
嗚呼無情無念無慈悲也!
そして・・・これ又後日談であるが、K教導隊長曰く。
「短パンの脱ぎ忘れは貴方の責任だからね!バディだったら私の着替え中にも目を配りなさいよ。着替えを見過ごした罪は、指示棒を忘れた罪に次ぐからね!」
K教導隊長殿、故にビキニ水着の下はTバックにしてくだされぃ~。絶対に見逃さんから。

・カメラのストラップがブチ切れ、ダイコンのベルトも切れ、BCDのインフレータ・ホースを閉め忘れた王子・・・
・防水バッグを防水灰皿にされ、着替えの短パンを濡らし”パンいち”での帰宅危機に晒されたK教導隊長・・・
・仲間達に降り掛かった不幸に痛く同情し心の中を優越感・・・もとい、同情心で満たしていた私であるが・・・
ホテルに着いた後にKYOCERA製SIMフリー携帯電話TORQUE SKT01がブッ壊れた。
強制再起動を掛けても・・・常時フライトモードなタフネス スマホとなってしまったのだった・・・。
三者三様に今後の厄災をまとめて受けてしまったのかもしれない。
よって、明日からのダイビングでの厄災を払い去ってしまった。・・・とも言えるのではなかろうか?
オ・ト・コ・マ・エ

回収できて良かったじゃん。

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