2015年7月20日月曜日

祝!丸メロ軍曹改めイチヂカン中尉殿出所栄転潜水作戦 しょの壱

 部屋に荷物を放り込み機材を取り出す。
私は既に水着を着込んでいたので動きも早い。
イチヂカン中尉が自室で着替えている間に海の状態を見に行く。
ほぉ、懐かしい波が立っておる。
普通の時でも午後になればどうしても波は立ってくる。
最近は贅沢且つ面倒になってチョットでも波が立つ午後は部屋で寝ているようにしている。
しかし、イチヂカン中尉のカメラ機材操作や其の後の夜間潜行を考えれば詰まらぬ海況でも、明るい内に一本は入っておきたい。


 どこをどーすればこーなるのか判らぬが一時間半以上をかけてイチヂカン中尉が着替えて出てきた。
潜るならばギリギリの時間。
それでもイチヂカン中尉に波の状態をジックリと観察してもらう。
キッチリとエントリー出来る瞬間が起きている。

 痛風潜水隊は多くの海でショップのガイドを伴わずに潜る。
と、なれば隊員間でのダイビングへの認識も、ショップで居合わせて潜る仲間の其れとは異なってくるのだ。
アマチュア同士で潜る場合、絶対に安全第一だ。
そして全員がショップのサービスを互いに提供し合わねばならない。
だからと言って全員がダイビングスキルの上級者である必要はない。
腕力・酒肴・通訳・会計・運転・ムードメイク等々、とにかく全員が何かを持ち寄る気持ちが必要なのだ。
ショップの客的に潜りたい人はこの隊では難しい。

 実際はエントリーよりもエキジットの方がコツが必要になる。
今までの痛風潜水隊でのやり方はこうだ。
水深が十分ある内に海面を見て波の状態を確認する。
特に波が荒い時は、海中で互いに顔を合わせ、浮上位置や夫々の役目をハンドシグナルで確認してから浮上する。
浮上後も再度互いに声をかける。
力量のある隊員が先に丘に上がり、自分の機材を外す。。
同じく力量のある別の隊員は女性隊員や元老隊員を確保して足の届かない海上で波に揺られながら待機。
陸に上がって身軽になった隊員は再び海に入り、女性隊員や元老隊員の装備を外して担いで上がる。
身軽になった隊員同士で協力して陸に上がる。
海上で他の皆を確保した隊員も上がる。
ま、今までも何も言わんで此れ位のチームワークは普通に行ってきた。

話は戻る。
とにかくイチヂカン中尉に自信が湧くのを待つ。
無理なら中止。
彼女から「逝けるで。」とウソ関西弁の返事が出る。
波に対して横向きで波の動きを見ながら動きたい。
イチヂカン中尉は「あ~ぅ、あ~ぅ」となんか唸っている。
これなら未だ私の話も聞けるレベルだ。
徐々に海に迫る。
くるぶし位の位置にきた時、彼女は「はっ、ほっ」と台詞を変えてきた。
このワンコの臨月的な台詞はヒトの話を聞かない症状。ん~~~チトやばいか?
大きめな波がやって来た時、彼女は後ろ向きに転んでしまった。(水深0~0.2m)
独りで転べば良いものを、私の左腕を引っ張りながら転んだ。
私としては「いや、転ぶのは未だもう少し先やろ?」という予想外の位置での転倒。
左腕を引っ張られて私も左側面から転倒。
その時、私の体で最も筋肉率の高い左大腿側部に衝撃が走る。
彼女のタンク下部の尖がりに犯られてしまった。
私「ウグロォ!」
私の出身地では“ももた攻撃”、多くの地方では“ももかん”として高校時代に流行った太もも側部の攻撃法が見事にHIT!
急所②を犯られた訳だ。
この場合、暫くソットしておけば回復するはずだが、機材を背負ったまま転んでいるのは厳しい。
ってか、イチヂカン中尉の方も気になる。
無理矢理にダメージを受けていない他の筋肉を酷使して立ち上がる。
そんでイチヂカン中尉を引き揚げる。
「気持ちが負けました。」そう言う彼女に持っていたカメラを返して引き揚げる。
機材を仕舞うまでは体を緊張させて耐える。
其の後はずっとビッコ引きだぜ。
シャワーを浴びてレストランでステーキと冷えたビール大瓶を注文。
ビールは飲むだけでなく足を冷やしたいのだ。
落ち着いたイチヂカン中尉が詫びてくる。
済んだ事じゃ。
そーゆー有事の為に、暇さえあればジムで鍛えて居るんよ。ってか、歳を取るに連れてメニューが過激になっておるけど。
自分ではない将来の誰かの為に。が痛風潜水隊のテーマじゃ。
いつかインドネシアに飛ばされてやって来る他人の為にこそ隊が存在しているのだ。
そー考えれば苦労なんざ勝手に楽しみに変わるもんよ。
今回の参加隊員であるイチヂカン中尉、斬込隊長、Tスケ&Dr.C達も、皆で色々と新しいレンタカーや運転手の情報集めしたやん。

 超早めの夕食後。
本国本社から仕事のメールが来たと言うイチヂカン中尉は自室に戻る。
私も自室に引き揚げる。左大腿部は痛い。
だが痛みは無視するに限る。
怪我や病気は回復するか死ぬかの二つに一つ。
悩んでも始まらぬ。
テレビを点け、イドゥルフトゥリ間近の各地の混雑し始めた交通状況を「ウケケッ。ザマァ~」と微笑みながら眺めていた。
っと、その時に猛烈な寒さが体を襲撃してきた。
歯がカチカチ、お手テもブルブル、アンヨはピクピク、今なら全身ヴァイブレーターAV男優として売れる!
そんな確信をしている場合ではない。
足を引き摺って彼女の部屋をノックする。
「お仕事中に悪いけど、俺熱出てねくね?」
額に触れた彼女は「アヒッ熱熱、兄さん、死んじゃうやん♪」と騒ぐ。そんなに騒ぐな。熱がなかったら死んでおるわ。
いわゆるショック症状なのであった。
レンタカーのクラッチを脳の指示通りに踏めるかしらん。
斬込隊長からは明日マルゴーサンマル到着の一報が入る。
ま、寝るしかないね。

 翌朝、例によって持参した湯沸し&ドリッパーで珈琲を淹れて香りを楽しむ。
空は晴れ渡り、沢山の星が綺麗だ。
アンヨは痛みを無視すれば何とかなる。
斬込隊長がやってくる。
我が壊れかけた足の状況を話す。
日が昇っても海の状況は相変わらず。健常な私と斬込隊長ならば無問題なレベル。
静かの海
昨日潜ったと言う他の部屋の毛唐から「透明度極悪也」との情報。
Tulamben潜行のアボートを告げる。

 一晩寝て、私の足は何とかクラッチが踏めそうだ。
斬込隊長は乗ってきたバイクで単騎。
R姐とイチヂカン中尉と私はレンタカーで次のポイント、チャンディダサへ移動となる。
そこで各自の機材を預けておくのだ。
CandiDasaの海は至ってベタ凪。
バリの海は全く解らぬのう。
Sanurに戻ったら、もうねー日の高い内から宴会っすよ。
デンパサール、セセタン通りの「天咲」っすよ。
肉に魚が乱れ飛び、ビールが轟音を蹴立てて転がって行くのよ。
酒池肉林ネ。



酔っ払って、明日に繋げて行くのよ~。









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