2013年5月16日木曜日

皐月ごーるでんうぃぃぃぃく乗遅れダイブ作戦 赤裸々報告 無事にお家に帰るまでが遠足です編


*(御注意)今回の報告はやたらと長い。だらだらと長い報告を読むのが嫌いならば読み飛ばしてな。
  インドネシアに長く滞在していると自然に身についてしまう技術が幾つか在る。
その一つが、スマートなスプラッシュ・ゲロ、嘔吐式専守防衛である。
之を会得してしまえば、「おっ、通だね、粋だね!」っとなるのだ。さぁ、貴方もセンスの良い小粋な嘔吐方法をマスターしよう!指を当てる位置と呼吸が上達への道だ。
ゲロ、嘔吐は恥ずかしい事ではない。むしろ洗面台の前で歯に付いた青海苔をティッシュで拭い取るのと同じ所作なのだ。
 今回の作戦に向かう為、ジュアンダ空港へ。チェックインを済ませて、エスカレータを昇って直ぐ右のカフェに入った。店員から勧められて其の店で一番売れているらしいミー・クア(しょぼい汁ソバもどき)を頼んだ。時間も時間故に止む無くの食事であった。で、食後数十分で猛烈な吐き気、そう、ロシアンルーレット命中である。スマートにトイレを後にしつつ思い出した。
 スラバヤのジュアンダ空港がアセアン商業航空賞表彰式でアセアンのベスト空港に選ばれたんだと。ついでに国内の年間二千万人未満空港カテゴリーでもベストパフォーマンス空港の栄誉を獲得だと。大体アセアン商業航空賞で検索してもサッパリ判らん。
そうすると、アセアンの他の空港はジュアンダ空港よりもダメダメって事なの?
ジュアンダ空港よりも一層、
 ・駐車場に描かれている誘導矢印とかのロジスティックがダメダメなの?
 ・白タクのバラエティーが豊富なの?
 ・ダフ屋の数が多いの?
 ・テナントのクオリティと価格設定が無茶苦茶なの?
・・・そんなアセアンならイラネ~かも。(涙声)
その手の認定ってばノーベル平和賞とか何たら文化遺産みたいなものと同じカテゴリ~?

 で、今回の作戦地もTulambenなのである。
先着した第一小隊は早々の日没前に半ナイトダイブ&ナイトダイブである。いつもの豊富な常連生物にご挨拶。2本目のナイトは少し流れが出てきたが、エキジットした時の満天の星に癒されるのだ。北斗七星と南十字星を同時に眺める新月の夜であった。
 翌朝は深夜に到着した第二小隊と日の出ダイブ。久し振りのジャイアント・バラクーダに挨拶。
朝食後の2本目はダイバーも増えてきたので、30m超の深度でマッタリと透明感の深い眺めを堪能。
3本目ではリーダー(先頭でのガイド役)をバニー小隊隊長に委ねるのであった。

そもそも、潜水隊自体が営利団体ではない故に安全確実に皆を先導する役目を、スキルと経験の深い隊員が担うのが通例。そして、リーダーと同じかそれ以上のスキル保持者がシンガリ役(最後尾)となる。シンガリ役は名の通り、最後尾で全員の安全状況に全ての責任を負う羽目になるのだ。
何れにせよ全員揃って無事に陸に上がってナンボがダイビングの最高目的なのだ。よって、リーダーとシンガリは其の役目の時は潜行時には全知全能の神の如くに振舞わねばならないのだ。(勿論初心者が多い時等の場合には、業者さんにも手伝いを依頼する。)何度も書くけど全員が安全無事に還るのが大前提。
 其の中でリーダーって役は後からついて来る隊員の為のルート策定(当然三次元ルートね)から、皆の健康状態や残りの空気量の確認とか、海流の流れの変化によるルート代案とか・・・自身のコントロールを行った上で、他にも色々と考えながら潜る必要があるのです。しかも当然だけど無報酬ネ。互いに此の辺の苦労を理解し合って行動するのが痛風潜水隊の不文律。ってか、大人の基本な。
隊では機会が有れば参加する隊員にリーダー役を経験してもらうようにもしている。
無論潮流等の外的状況と隊員其々の体調等の内的状況が許される場合に限るが。
 単純に誰かに連れて行ってもらうだけのダイビングならば、業者さんに依頼する方をお奨めですわ。痛風潜水隊にとって“クレクレちゃん”だけはお互いにシンドイものになってしまうのである。キツイ表現だけれどもそーゆー方は金をケチらずに業者さんへ電話してね。
誤解の無い様に書くとダイビングの後に「ご苦労さん、お疲れ」の一言、もしくはその気持ちだけで十分なんです。そーゆー単純馬鹿でなければ自らリスク負担を志願するリーダー・シンガリは務まらんです。上記はその理解と気持の持てない方の場合ですズラ。
互いに其処の所を理解し合ってこそ、親交・信頼が深まるのも事実だ。
 リーダー役を行う事によって、自身のスキルアップに繋がるのも事実だし、隊員間の信頼醸成にも役立つのだ。決してヤッチマッタ的ドジを肴にして吞む為ではないのだ。
 そして今回、無事にバニ・ダー誕生なのであった。しかも、新生リーダーは凄い。海亀を呼び寄せるわ、ナポレオン・フィッシュの親子三匹に遭遇の運を呼び込むのであった。
ナイトダイビングは波が出てきたので1本のみ。常連生物の他に蛸の赤ちゃんや烏賊の赤ん坊を観察。烏賊の赤ん坊が魚の赤ん坊を捕食する場面にも遭遇なのであった。 
夜間潜行前には万一逸れてしまった場合の対処を再確認。Tulamben、沈没船の場合は浅くなっていく方向に陸があるので迷う事は無い。冷静ならば・・・
ダイビング自体は「如何に冷静で居られるか」を守れば誰でも楽しめるスポーツなのである。逆にパニックがパニックを生み出し続ける無限ループに自身や仲間を巻き込む危険があるのも事実だ。コマーシャル活動ではないので其の辺は確りと書いておきますね。危険もあるから仲間意識も強くなる。
 やはり今回もTulambenはダイバーの期待を裏切らない海であった。気付けば今回は一滴のアルコールも消費していなかったのだ。









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・・・無難な報告になる筈であったのだが、何とロシアンルーレットは陸の上で我々に狙いを定めていたのであった。


無事にお家に帰るまでが遠足です編
 ダイビングも無事に終わり、翌朝はマルハチマルマルに食堂に集まって朝食後に清算&解散の予定であった。
 私と丸メロ軍曹が予定よりも数分早く食堂に到着。海の前のオープンテラスには椰子の実と葉が散乱している。どうやら20m前後の高さの椰子の木に椰子刈職人が登り、落ちてきそうな椰子の実や葉を切り落としている。特別な道具も使わずに器用に登るものである。感心していると職人がスルスルと降りてくる。落とした椰子の実の中には割れて果肉を食せる物もある。意地汚くも、その一つに指を突っ込んで味見をしていた時に第二小隊の姿が見えた。「あにゃ!!!?」今まさに第二小隊が降りようとしている階段脇5mに伸びている椰子の木。高さは矢張り20m前後。その上に登った椰子刈職人が椰子の実や葉を鉈で落とし始めているのだ!
「Hey!~Hey!」っと大声で叫ぶ。第二小隊二名は椰子の木から伐採されて落ちて来る葉に気付いた。そして椰子刈職人も通行人に気付いて作業の手を止めた。階段道を通るならば今。そして第二小隊は階段を降り始めた其の時に、椰子の実が落ちた。しかも木とは反対の食堂側を歩いていたバニー隊長の頭上に。頭を抱え込み崩れ落ちるバニー隊長(以下マルガイ)。其れを抱きとめる自宅警備隊長。駆け寄った私はマルガイのオデコから冷や汗が滝のように流れているのが見えた。(後で聞けば其れはフレッシュ・ココナッツ・ジュースだった。)
 頭に衝撃を受けた人は動かしてはいけない。首にも影響が及んでいる可能性がある。
意識は確りとしているが、それも緊張している所為かも知れない。自宅警備隊長が部屋まで運びベッドに寝かせる。私は厨房に飛び込みホテルの職員に事を話し、氷と責任者への連絡を告げる。
 部屋に戻って携帯電話を取り出してマルガイの部屋に向かう。マルガイの目視と意識の確認を行った後に女房殿の仕事用番号を押す。んが、電波状態が悪いのか繋がらない。ムカつく事に、Docomo仕様の携帯電話は電波を探し回った挙句に再起動してやがる。NEC&カシオの携帯電話は再起動すると立上る迄に時間がかかる。自宅警備員の携帯電話を借りてようやく繋がった。以前に書いた気がするが、私の女房殿は一応医療機関で働いている。事故の状況、事故からの経過時間、マルガイの性別年齢状況を話す。
先ずは絶対に動かさない事、マルガイのバイタル変化に留意し続ける事、話しかけ続ける事、医者を呼び血圧・脈・瞳孔等のバイタル診断を受ける事が告げられた。
早く街の病院で検査を受ける様にしたいが、先ずは医者の診断が先だ。それで診断の結果を受けて初めてDenpasar のCTスキャンのある病院に担ぎ込める。
現在のBaliの交通状況からスムーズに運べる病院の選定をしてもらう。しかも病院にはCTスキャンが無いと話にならない。何れにせよ医者の診察が始まるまでは冷やすしかない。ついでにヤバイケースだと一寸油断した隙に気を失うとか、嘔吐が始まって気道確保の怠りとか、鼻や耳から何か不穏な液体が出てくるとか、そーゅー事態に脅えつつも観察と意識の維持の為に話かけを続けて状態を見守るしかない。
診察が終わって結果が出て、移動の許可が出れば速やかに移動である。
全員の機材は未だ干されたままだし、荷造りもある。マルガイが一番大変な状況だけれども、周りの我々も冷静に優先順位を決めてやれる事をやるしかない。
 んがぁ~~~マルガイは打身の痛さと腫れを訴えるのは当然として、ついでに冗談も口からニョロンっと出ている。・・・処がどっこい、そうしていた筈の容態が突然に変化する事も起こり得る。
 心情的には無事であって欲しい望みと、最悪中の最悪の事態を想定して備えるべき現実と、はやる心情を抑えて、今出来る事を冷静に順番に確実に行うべきって四つの思考が渦巻いた。が。現実には、非情になって最悪の事態のみに集中して動くのが鉄則なのだ。まぁ、自分の子供とかの身内だったら凄く難しい選択だな。
そうこうしている内に食堂のスタッフから・病院に連絡して医者が向かっている事と、ホテルの責任者が向かっている事の二点が告げられた。他にやって置くべき事は無いか?そうだ!落ちたと思われる椰子の実と椰子の木の写真を撮っておこう。そうすれば医者に説明する時に少しでもスムーズになるはずである。改めて事件現場に赴いてみる。
              私自身が確りと見たのは、あの時に確かに確実に椰子刈職人は通行人に気付いて手を止めた。視線を下げると落下物が無いのを確認した二人は歩き出していた。そして歩き出した二人に注目していたら突然視界上方から立派に太った実がマルガイの頭に落ちてきた。








図の様に椰子の実の生っていた位置と事件現場は高さが有り過ぎて一つの視界には収まらない。
 そもそもが、椰子の実や葉が落ちて来るからこそ椰子刈職人が呼ばれて作業に入っていた筈だ。考えられるのは椰子の実の自然落下、若しくは偶々斬りかけ途中で刃の入った椰子の実が落ちたかである。

途中経過を端折って結果を書くと、打ち身・筋肉痛以外の問題は無かった。後遺症も考えられないとな。その結果が出てくるまで、08:00~17:40の9時間40分はマルガイ本人は当然の事、我々にも厳しい時間なのであったよぅ。
現場に駆けつけて医者の手配をしたホテルの責任者からは詫びとして宿代請求の取り消しがあった。Denpasar の病院から結果を伝えた際はしばらく歓喜感激の雄叫びが携帯電話のスピーカーから流れていた。私も嬉しかった。
 矢張り一度でも一緒に海に潜ったバディは掛替えの無い大切な存在なのである。そう想われた当人からすれば野暮で傍迷惑な片想いに似たものかも知れんが。それでも良いから持ち続けたい気持ちである。
心配された青痣も時間から48時間経っても現れず。マルガイが実は美魔女であったことが発覚したのであった。恐らくは数kgもあろうかという椰子の実が運よく頭部を掠め去ってくれたのかも知れない。マトモに命中なら首にも支障があったはずだ。後で歯が一部欠けていたことが発覚した。

 先進国に身を置いてこれを読んだ方の中には、ホテル側への損害賠償云々の感想を持つとは思ふ。んが、此処はそーゆー国なのである。あえて今回「無事にお家に帰るまでが遠足です編」を付け加えたのは自身や仲間に、此の国には此の国のリスクが、ロシアンルーレットの銃口が常に我々に向けられている事を再認識したかったからなのだよ。
 パンク強盗、引ったくり、こそ泥、詐欺、暴動は常に身近に存在している。私自身も2.5回の爆弾テロと暴動に出会ったしな。日本よりも危機感・緊張感を持ち続ける必要があるのだ。起きてしまった事故事件ではあるが、アノ時、(他人では無く)各々自身が、ナニをどうして置けばより良かったかを考え続ける必要は在ると思う。自分は間違った行動をしていなかったって考えだけでは無く、よりベストな方法が無かったか?を常に自身に問い続ける事は、特に此の国で生活する上では必要だと信じている。
今回の教訓は高い木の側では上を見て指差し確認も必要なのだって事だな。水面よぉぉぉし、頭上よぉぉぉし、だな。あ、ついでにミー・クワよぉぉぉし、な。

1 件のコメント:

  1. どぅえーす2013年5月26日 22:29

    んー、こういう事態も予想して、今一度EFR(Emergency First Response)の教科書を読み直しておこう。
    明日やろう。多分、やろう。

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